理想化された家族のカタチ
日本と韓国、この国が共通して抱える問題のひとつに「少子化問題」が存在します。合計特殊出生率は先進国の中でも底辺に位置しており、その原因は経済成長だけでなく社会の構造と個人の実情が絡み合っているようです。
多面化された「個性」が認められつつある中、グローバルスタンダードに逆行し「古き良き伝統的な家族」に固執する保守的な権力層に翻弄され「理想化された家族観」に悩み、苦しみ、追いつめられる人も少なくないとおもいます。
私は小学生くらいの時に小学校が近い理由から親と離れて祖母の家にいたのですが、テレビを見てもポスターなどをみても家族は同じ家にいるのが当たり前的に描かれているので、当時は自分は普通じゃないのかととても悩んだことがありました。
※合計特殊出生率とは…15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、「期間」 (1年間の出生状況)と「コーホート」(1人の女性の障害の出生状況)の2種類がある。
2021年は日本は1.30人。韓国は0.81人。
日本の里親の実情
子どもをめぐる諸問題は近年多面化しており、「出生前診断(通称NIPT)で障がい児と分かり中絶する」「代理出産を求める」「パートナーは要らないが子どもが欲しく精子提供をする」「同性パートナーゆえに里親を希望する」などあらゆる状況がある。
まだまだ日本人の「実子主義」の認識は高く、里親制度が一般化している欧米に比べ日本は途上国家でだと感じています。
※日本の中絶率…厚生労働省によると2018年度161.741人と毎年減少傾向が続く。10代は大幅に減少しているが、40代では3年連続増加している。「経済的な余裕がない」24.3%、「相手と結婚していないので産めない」24.3%などが多い。
厚生労働省によると、現在実男の親と暮らせずに施設や里親家庭で暮らす子どもの数は約4万2000人(20年度)。その8割は児童養護施設や乳児院など施設に入所しており、里親で暮らすこの割合は22.8%(21年3月末)と、欧米と比べ日本ではまだ少なく、里親の成りても不足している状況のようです。
こうした状況も踏まえ、厚労省は16年の児童福祉法改正で「家庭養育」優先を打ち出し、家庭的な養育ができるとして、里親や特別養子縁組を推進している。
里親になるための条件としては「経済的に困窮していないこと」「里親研修を修了していること」と、現在においては法律上、婚姻しているかどうかは要件になっておらず、同性カップルだから駄目であることはありません。
同性カップルについては、17年4月に大阪市が男性カップルを「養育里親」として全国初認定された。
ある女性女性カップルのインタビューを見たときに「自分で産まなくても、次の世代のために何かできたらという思いは強い。里親を求める子どもの中には性的少数者の子もいるでしょうし、色々なタイプの里親がいて、信頼できる大人として受け皿になれたらと願う」とありました。
※養育里親と養子縁組の違い
養育里親…原則実親の同意が必要。実親との親子関係は継続。
養子縁組(特別養子縁組)…原則実親の同意が必要。実親との親子関係は終了。
育ての親は法律婚の夫婦のみ。法的に実子と同じ関係。
養子縁組(普通養子縁組)…養子が15歳未満なら実親の同意が必要。
実親との親子関係は継続。
2021年精子提供訴訟にみる子どものブランド化
「2021年精子提供訴訟」とは日本の女性が、「精子提供」を行った男性に対して損害賠償を請求した訴訟である。
女性が「男性が国籍・学歴・婚姻状況を詐称していたことで、精神的苦痛を受けた」ことを主張して男性へ損害賠償を求めて提訴したのだが、出産後心身の不調から子どもと暮らすことが困難とし、児童福祉施設へと入所となりました。
6年前ごろから「精子提供ドナー募集」が盛んに行われ始め、「精子提供アカウント」はSNS上には多く存在する。
カップルの問題や、性的思考によって不妊に悩む人々などさまざまな事情はあるにせよ、感染症検査や遺伝検査など不備や安全性の保障がないものが多く実態しています。
また、安全上の問題のほか問題視されるのが受精卵の時点で遺伝子操作を行い、特定の疾患を防いだり、親の好みにある容姿や能力を備えた子どもをつくるといった「デザイナーベイビー」といった倫理観の問題である。
日本の芸能界でのハーフタレントが多いことから見える、根底にある白色人種に対して抱く審美観。健康であることすなわち健常者であることは大前提として、学歴、芸術性など、個々の能力を評価し待遇として反映される能力主義社会であることは否めない。
自分の遺伝子ではどうにもならない「持たざる者にとっての平等」の主張を「精子提供」によって叶えようとする者がいることは、私たちが作り出した能力主義国家の代償であり、その損害を被るのは子どもたちであることを忘れてはいけないと強く感じます。
最近性的少数者(LGBTQなど)「見るのも嫌だ」と発言し、問題になっている首相秘書官の話題がニュースで取り上げられているが、本当に言語道断な話だ。「同性婚で家族間や社会が変わってしまう課題」と首相も発言していたが、むしろ変わらなければならないし、政治が社会に追い付いていない、分かっていないとあと何年すればわかるのだろうか。
少子化、里親問題、同性婚、夫婦別姓問題、日本の顕著なルッキズム、学歴、能力社会に息苦しさを感じる日本。精神疾患人数も増えており、幼いころは「平和な日本に生まれてよかった」と思っていたが遠い昔の話。さて、次の投票では自分ももっと勉強して参加しよう。
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